コラム&イベントレポート

これが“わたし”の生きる道

“わたし”の計画

 障害者総合支援法が施行されて4年以上が経過しました。ところでみなさん、この「障害者総合支援法」の正式名称をご存知でしょうか?「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」と言います。

 ここで言う『日常生活』『社会生活』の中心にいるのは勿論“わたし”です。

 現在の制度には「サービス等利用計画(児童は障がい児支援利用計画)」の作成が求められており、障がい福祉サービスを受けるにあたり必要となります。また日中活動系・居宅訪問系等、サービス事業所を利用される場合は「個別支援計画」、居宅介護サービスを利用する場合は「居宅介護計画」がそれぞれ作成されます。サービスを受けるにあたり、様々な場面で計画書が作成されます。

 これらの計画書には主人公である“わたし”が、どのような思いを持って生活をしていきたいかが示されています。そして“わたし”の応援団(各サービス事業所)がその計画のもと、サポートをしていきます。各計画とも本人中心であることが謳われており、“わたし”のための計画となっています。

“わたし”の意思決定

 『意思決定』と聞くと何だか難しいような気もします。でもこれは特別なことではありません。例えば「今日はボタンのシャツを着よう!」「今日のお昼はうどん!」は普段何気なく行っている意思決定です。日常生活にはたくさんの選択肢があり、その中から好きなものを選んで生活をしています。

 しかし障害のある方々にはそんな『普段何気なく』が難しいケースがあります。そこには『意思表出の困難さ』があります。詳しくは厚生労働省より、『意思決定支援ガイドライン』が策定されていますので、こちらをご確認ください。

応援団の三か条と二つの視点、そして大切な思い

 上記ガイドライン、意思決定支援の基本原則に『情報の説明や意思確認をあらゆる工夫を持って行う』『本人の意思決定に対しリスクを考えすぎて制約的にならないようにする』『根拠を明確にしながら本人の意思及び選好を推定する』とあります。これらはたとえ意思疎通が難しい方であっても、第三者が勝手に決めてはいけないということを意味しています。

 そのためには常日頃よりその人の情報を収集し、評価を取る『アセスメント』と日常の様子を細かく見る『モニタリング』の二つの視点が求められます。この二点は福祉だけではなく医療や教育でも使われている言葉です。その人をしっかりと『見ること』がその人の理解に繋がるのだと思います。

 我々支援者はピープルファーストの起源である、『わたしは、障害者としてではなく、まず人間として扱われたい』『わたしたちのことをわたしたち抜きに決めないで』という“わたし”の思いを大切にしていかなければなりません。