コラム&イベントレポート

知的障害者移動支援従業者(ガイドヘルパー)養成講座にて

 2018年5月26・27日、兵庫県西宮市にある社会福祉法人一羊会にて『知的障害者移動支援従業者(ガイドヘルパー)養成講座』が開催され、講師として参加しました。同法人では定期的に養成研修を実施し、ヘルパーの確保に努めるとともに、障がい福祉の啓発活動を行っています。

 『ガイドヘルプ(移動支援)』とは障がいのある方に外出のサポートをする事業です。ガイドヘルパーは2日間の講義と1日の実習を経て資格取得となります。

 2日間の講義には障がいの特性やコミュニケーション、心理学、事故防止等八つの講義があります。講義の中には疑似体験(例:軍手をした状態で折鶴を作成)を取り入れる等、趣向をこらしたものもありました。

 私は「障害者福祉の制度とサービス」を担当させていただきました。今年の4月に一部法改正があったので、改正箇所も一部紹介しながらの講義となりました。

 私の講義では受講生の方に『福祉のイメージは?』という質問を毎回行っています。この質問は私自身が聞かれると返答に困る質問です。「問題解決」や「生活の質」、「幸せ」という言葉だけでは表現しきれず、この世界に長くいればいるほど『福祉』のイメージがわからなくなっています。

 ガイドヘルパーは比較的短期間で資格取得が可能です。そういった意味で福祉の入門編とも捉えることができます。入門編である講座の受講生に対し、先述の質問をするわけですから、返答に困ることが推察されます。しかし、受講生の大半は自身の思う「福祉」のイメージをしっかりと考えて返答してくれます。その回答を貰う時間は私にとって自身の再考のきっかけとなったり、感銘を受けたりと毎回が貴重な時間です。

 さて、私はガイドヘルパーには二つの大きな役割があると思っています。「障がいのある方の社会参加」と冒頭にも記載した「社会への啓発」です。2年前に障害者差別解消法が施行されました。この法律を紹介するリーフレットには各種の事例が掲載されています。その事例の中には実際のガイドヘルプの活動中にもあったであろう事柄が記載されています。このような事例の蓄積が法律や制度を生み出します。法律ができたからというわけではありませんが、こういった出来事を通して「相互理解」に繋がっていくのだと思います。このような橋渡し役になる人が増えていけばと切に願います。